2025/05/28 17:36
この記事では、長野県が誇る伝統工芸品をご紹介します。
木の温もりと技が光る「南木曽ろくろ細工」
長野県の南西部に位置する南木曽町は、古くから木曽檜をはじめとする良質な木材に恵まれ、木工業が盛んな地域です。南木曽ろくろ細工は、この地で江戸時代初期から続く伝統的な木工芸品で、国の伝統的工芸品にも指定されています。
ろくろに木材を固定し、カンナなどの刃物を使って椀や盆、皿、茶筒といった円形の器物を削り出す技法が用いられます。熟練の職人による手仕事から生まれる、滑らかで美しい曲線と、均一な厚みが特徴です。
歴史
その起源は、江戸時代初期に木地師(きじし)と呼ばれる職人たちがこの地に移り住み、豊富な森林資源を利用してろくろ技術を用いた器物を作り始めたことによるとされています。中山道の宿場町として栄えた木曽路において、旅人たちの土産物としても人気を博しました。
素朴な味わいと力強さ「松代焼」
長野市松代町を中心に焼かれる「松代焼」は、江戸時代後期に開窯されたと伝えられる陶器です。一度は途絶えかけましたが、近年になって復興され、再びその素朴で力強い魅力が注目されています。
特徴と魅力
松代焼の最大の特徴は、「青松代」とも呼ばれる独特の青緑色の釉薬です。この釉薬は、地元の鉄分を多く含む粘土と藁灰などを原料としており、焼成によって深みのある美しい色合いを生み出します。
また、釉薬を大胆に流し掛ける技法も特徴的で、一つとして同じものがないダイナミックな模様を生み出します。この偶然性と手仕事ならではの温かみが、松代焼の魅力となっています。